店舗・内装解体(スケルトン工事)の費用相場|原状回復との違いを施工管理8年が解説【2026年版】
店舗・テナントの内装解体(スケルトン工事)の費用相場を施工管理8年が解説。原状回復との違い、坪単価、産廃・残置物、見積書の見方と相見積もりのコツまで実務目線でまとめます。
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店舗やテナントの退去で発生する内装解体(スケルトン工事)の費用は、結論から言うと坪3万〜8万円、飲食店など造作が多い業態では坪10万円前後まで上がるのが2026年時点の一般的な目安です。15坪の小規模店舗ならおおむね60万〜150万円、厨房設備や防水を伴う飲食店ではそれ以上になることも珍しくありません。
そして多くの方が最初につまずくのが、「内装解体」と「原状回復」を同じものだと思い込んでしまう点です。私はゼネコンで施工管理を8年担当し、テナント工事の見積書作成や相見積もりの調整にも関わってきましたが、契約書の指定が「スケルトン返し」なのか「原状回復」なのかを取り違えたまま業者へ依頼し、後から追加費用や、逆に過剰な工事でムダ金を払うケースを何度も見てきました。どこまで壊すかを契約書で正確に把握すること——これが内装解体で損をしない最初の一歩です。
📌 結論(先に書きます)
- 内装解体の坪単価目安:物販・オフィス 3〜6万円/飲食店 6〜10万円前後(造作・厨房の量で変動)
- 「スケルトン返し」と「原状回復」は別物。契約書の指定を必ず確認してから見積もりを取る
- 金額が膨らむ主因は本体作業より「産廃処分費」と「残置物(厨房機器・什器)の撤去」
- ビル内施工は搬出経路・工事時間帯(夜間/休日)の制約で割高になりやすい
- 概算をつかんだら必ず2〜3社で相見積もりを取り、内訳を項目ごとに突き合わせる
内装解体(スケルトン工事)とは何か
結論:床・壁・天井を撤去し躯体(コンクリート)だけに戻す工事
内装解体とは、テナント区画の内側に造作された床・壁・天井・設備などを撤去し、建物の構造躯体(コンクリートや鉄骨)がむき出しの状態に戻す工事を指します。この「躯体だけの状態」を業界用語でスケルトンと呼び、契約書では「スケルトン返し」「スケルトン渡し」と表記されることが多いです。
戸建ての解体(建物そのものを壊して更地にする工事)と違い、内装解体はビルやマンションの一区画だけを対象にします。建物自体は壊さないため、隣の区画や上下階に振動・粉じん・騒音を出さない丁寧な施工が求められ、ここが費用にも工期にも影響します。具体的な撤去対象は次のとおりです。
- 床:フローリング、塩ビタイル(Pタイル)、カーペット、上げ床(OAフロア)
- 壁・天井:間仕切り壁、ボード、クロス、天井材、下地の軽量鉄骨(軽天)
- 設備:照明、エアコン、給排水管、ガス配管、厨房設備、ダクト
- 造作・什器:カウンター、棚、レジ台、看板、サイン
どこまで撤去するかは契約条件で変わります。「スケルトン」と一口に言っても、ビルによっては「天井は残す」「床のコンクリートは触らない」など指定が異なるため、自己判断せず必ず契約書とオーナー(貸主)の指示を確認してください。
「スケルトン」の範囲はビルによって違う
ここは特に誤解が多い部分です。同じ「スケルトン返し」でも、ビルAでは「天井裏のダクトや配線まで全撤去」、ビルBでは「天井ボードは残置でよい」というように、求められる水準が現場ごとに違います。私が見てきた中でも、借主が「全部壊す」と思い込んで余計な天井解体まで発注し、本来は不要だった費用を払ってしまった例がありました。
逆に、撤去が必要な配管を残してしまい、引き渡し後にオーナーから「これも撤去対象だ」と指摘されて再工事になったケースもあります。範囲のズレは、そのまま追加費用か手戻りに直結します。見積もりを取る前に「どこまで壊すのか」を貸主と書面で確定させることが、内装解体で最初にやるべき作業です。
内装解体と原状回復の違い
結論:原状回復は「入居時の状態に戻す」、スケルトンは「躯体まで戻す」
内装解体(スケルトン工事)と原状回復は、しばしば混同されますが、ゴールが違います。
- 原状回復:借りたときの状態に戻すこと。前のテナントの内装が付いた「居抜き」で借りた場合、その内装の状態に戻すのが原状回復になる
- スケルトン返し:床・壁・天井・設備をすべて撤去し、構造躯体だけの状態にして返すこと
つまり「居抜きで入居 → 原状回復で退去」なら前テナントの造作は残してよい場合があり、「スケルトンで入居 → スケルトンで退去」なら自分が造作した内装をすべて撤去して躯体に戻す必要があります。どちらが求められるかは賃貸借契約書に明記されているのが通常です。
下表に、両者の違いと費用感の傾向を整理します。あくまで傾向であり、実際の範囲は契約書の指定が優先されます。
| 比較項目 | 原状回復 | スケルトン返し |
|---|---|---|
| ゴール | 入居時の状態に戻す | 床・壁・天井・設備を撤去し躯体だけに |
| 撤去範囲 | 入居後に変更した部分が中心 | 内装ほぼ全て |
| 費用感の傾向 | スケルトンより抑えられることが多い | 撤去量が多く高くなりやすい |
| 該当しやすいケース | 居抜きで入居した店舗 | スケルトン区画を借りて造作した店舗 |
| 注意点 | 「どこまで戻すか」の解釈差 | 「どこまで壊すか」の範囲指定差 |
契約書の指定を取り違えると損をする
このテーマで最も伝えたいのはここです。契約書の指定が「原状回復」なのに業者へ「スケルトンで」と依頼すれば、本来不要な撤去まで行って費用が膨らみます。逆に「スケルトン返し」が条件なのに原状回復レベルで止めてしまえば、引き渡し時にやり直しを命じられます。
実務では、退去の連絡を入れる前に賃貸借契約書の「明渡し」「原状回復」「特約」の条項を読み返し、必要なら貸主・管理会社に「退去時の解体範囲はスケルトンか原状回復か」を文面で確認しておくのが安全です。解体の範囲は金額より先に確定させる——順番を間違えないでください。なお、見積書の項目そのものの読み解き方は解体 見積書の見方|内訳・追加費用・ぼったくりの見分け方で項目別に解説しているので、あわせて確認すると内訳のチェックがしやすくなります。
内装解体の費用相場と坪単価
結論:業態によって坪単価は3万〜10万円前後まで開く
内装解体の坪単価は、撤去する造作と設備の量で大きく変わります。間仕切りが少ないオフィスや物販店は安く、厨房・防水・ダクトが絡む飲食店は高くなる——これが基本の傾向です。下表は2026年時点で私が見積書を確認する際の目安です。地域・ビルの条件・繁忙度で幅があるため「目安」として捉えてください。
| 業態・区画 | 坪単価の目安 | 費用が動く主因 |
|---|---|---|
| オフィス・事務所 | 3万〜5万円 | 間仕切り・OAフロア・配線の撤去量 |
| 物販店・アパレル | 4万〜6万円 | 什器・造作棚・照明の量 |
| 美容室・サロン | 5万〜7万円 | 給排水・シャンプー台・特殊設備 |
| 飲食店・カフェ | 6万〜10万円前後 | 厨房設備・グリストラップ・ダクト・防水 |
坪数別にざっくり概算すると規模感がつかみやすくなります(造作が中程度の店舗を想定した一例)。
| 区画の広さ | 内装解体費の目安 |
|---|---|
| 10坪 | 40万〜80万円 |
| 15坪 | 60万〜150万円 |
| 20坪 | 80万〜200万円 |
| 30坪 | 120万〜300万円 |
同じ坪数でも、空っぽに近いオフィスと、厨房がフル装備の飲食店とでは総額が2倍以上違うこともあります。まず自分の区画が「どの業態の撤去量に近いか」を意識すると、提示された金額が妥当かどうかを判断しやすくなります。坪単価の考え方そのものは戸建ての解体と共通する部分も多いので、基礎を押さえたい方は解体工事の費用相場・坪単価まとめもあわせて読むと比較の目線が養えます。
金額を押し上げる「産廃処分費」と「残置物撤去」
見積書を比較するとき、私が本体作業費より先に確認するのが産業廃棄物の処分費と残置物の撤去費です。内装解体は分別して処分すべき廃材(木くず・石こうボード・金属・プラスチック・ガラスなど)が大量に出るうえ、テナントの場合は厨房機器・什器・在庫といった残置物が残っていることが多く、その撤去費がそのまま総額に乗ります。
特に注意したいのが次の点です。
- 厨房設備・グリストラップ:飲食店特有。撤去・処分の手間が大きく単価も上がる
- エアコン・冷蔵設備のフロン:フロン類は法令に基づく回収が必要で、別途費用がかかる
- 看板・サイン:屋外看板は高所作業を伴い、別途費用になりやすい
- 残置物:自分で運び出せるもの(小物・在庫)を事前に処分すれば、その分は削減できる
「本体作業は安いが処分費が高い見積書」と「本体は高いが処分費込みの見積書」を総額で比べないと、判断を誤ります。比較すべきは作業単価ではなく、処分費・残置物まで含めた総額です。
ビル内施工は時間帯・搬出経路で割高になりやすい
内装解体は建物の一区画で行うため、戸建て解体にはない制約が費用に効いてきます。代表的なのが工事時間帯と搬出経路です。
商業ビルや雑居ビルでは、営業中の他テナントへの配慮から「工事は夜間のみ」「日曜・祝日に限る」といった条件が付くことがあり、夜間・休日施工は人件費が上がります。また、エレベーターでしか廃材を運び出せない、共用部の養生が必須、といった条件も手間とコストを押し上げます。私が見てきた範囲でも、路面店と上層階のビルインとでは、同じ広さ・同じ業態でも総額で数十万円の差がつくことがありました。立地と建物条件は坪単価表には現れない変動要因です。
内装解体で失敗しないためのチェックリスト
見積もりを取る前と取った後に、最低限そろえて確認したい項目をまとめます。1つでも抜けると追加費用や手戻りの原因になります。
- 賃貸借契約書で「スケルトン返し」か「原状回復」かを確認した
- 貸主・管理会社に解体範囲(天井・床・配管の扱い)を書面で確認した
- 区画の坪数と業態(造作・厨房の量)を把握した
- 残置物(厨房機器・什器・在庫)のうち自分で処分できるものを仕分けた
- 産廃処分費・フロン回収費が見積書に含まれているか確認した
- 工事可能な時間帯(夜間/休日指定の有無)を管理会社に確認した
- 搬出経路(エレベーター使用・共用部養生)の条件を確認した
- 原状回復の期限(明渡し日)から逆算して工期に余裕があるか確認した
- 2〜3社で相見積もりを取り、内訳を項目ごとに比較した
このチェックリストを先に埋めてから業者へ問い合わせると、各社に同じ条件を伝えられ、見積もりの比較精度が一気に上がります。
概算をつかんだら相見積もりで内訳を突き合わせる
ここまでの目安で「自分の区画ならいくらくらいか」のあたりはつけられます。ただし内装解体には定価がなく、業者の繁忙度やビル条件で金額が動くため、最終的に適正価格で発注するには複数社の見積もりを取り、内訳を横並びで比較するのが鉄則です。
1社だけでは、その金額が高いのか安いのか判断する物差しがありません。一括見積もりサービスを使えば、区画の条件を一度入力するだけで複数業者の概算を取り寄せられるため、相場観をつかむ初動として効率的です。なお、相見積もりの具体的な進め方や、安い見積書に潜む「項目の抜け」の見抜き方は解体工事の相見積もりの取り方と安くするコツで詳しく解説しています。
解体一括見積もりサービス
で複数社の概算を比較し、本記事の目安と照らし合わせてみてください。なお、サービスの利用は無料のものが一般的ですが、申し込み前に費用条件はご自身で確認してください。
内装解体でよくある質問(FAQ)
Q. 「スケルトン」と言われたら天井裏の配管まで全部撤去ですか?
A. ビルによって異なります。天井裏のダクト・配線まで全撤去を求める区画もあれば、天井は残置でよい区画もあります。自己判断せず、貸主・管理会社に書面で範囲を確認してから見積もりを取ってください。範囲のズレはそのまま追加費用か手戻りになります。
Q. 居抜きで入居した店舗の退去はスケルトンにする必要がありますか?
A. 必ずしもそうではありません。契約が「原状回復」なら、入居時(前テナントの内装が付いた状態)に戻せばよい場合があります。一方で契約に「スケルトン返し」の特約があれば躯体まで戻す必要があります。判断材料は賃貸借契約書の条項なので、まずそこを確認してください。
Q. 残置物を自分で処分すると費用は下がりますか?
A. 下がる余地があります。在庫・小物・自分で運べる什器などを事前に処分すれば、その分の残置物撤去費・処分費を削減できます。ただし厨房設備や大型什器は専門の撤去・処分が必要なため、無理に自分で動かさず見積もりに含めるのが安全です。
Q. 飲食店の内装解体が高くなりやすいのはなぜですか?
A. 厨房設備・グリストラップ・防水・ダクトといった、撤去と処分に手間がかかる造作が多いためです。さらにフロンを含む冷蔵設備は法令に基づく回収が必要で、別途費用が発生します。物販やオフィスより坪単価が上がりやすいのはこのためです。
Q. 内装解体の工期はどのくらいですか?
A. 規模と業態によりますが、小規模なオフィス・物販なら数日、厨房を含む飲食店や夜間・休日施工の制約がある区画では1〜2週間以上かかることもあります。明渡し日から逆算し、見積もり・業者選定の時間も含めて早めに動くのが安全です。工程全体の流れは戸建て解体の解体工事の流れ・期間・日程も参考になります。
まとめ
店舗・テナントの内装解体(スケルトン工事)の費用相場は、坪単価でいえばオフィス・物販で3〜6万円、飲食店で6〜10万円前後が2026年の目安です。ただし最終金額を決めるのは産廃処分費・残置物撤去費・ビルの施工条件であり、業態と立地で大きく上下します。
そして何より重要なのが、「スケルトン返し」と「原状回復」のどちらが求められるかを賃貸借契約書で正確に確認し、解体の範囲を金額より先に確定させることです。範囲が曖昧なまま発注すると、過剰工事でムダ金を払うか、手戻りで二重の費用がかかります。概算をつかんだら必ず2〜3社で相見積もりを取り、処分費・残置物まで含めた総額で比較してください。本記事の数値はすべて目安であり、正確な金額は現地調査を経た見積書でご確認ください。
解体の見積もり、相場と比べていますか?
同じ解体工事でも業者によって数十万円変わります。相見積もりで複数社を比べるのが、損をしない一番の近道です。
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